Hunnigan, Sloane and Minchin

グランドミュージカルとか映画とか

「ジェーン・エア」強く赦しを授けられ、最後に勝つのは…

東京芸術劇場 3月24日 13:00 演出:ジョン・ケアード)

久々の芳雄さんです。別に熱烈なファンではないです。
ただミュージカル俳優を追って地上波放送など見ると触れる機会が多くなるのでやはり思い入れもできる方です。それだけの力量もある方ですし。
で、基本的に芳雄さんの演目はチケット難と考えてるので一回だけになります。昨年ガイズアンドドールズでもそうだったのですが、結構気合い入れて“古典”(これはあらゆる方向からの意味)を頑張ってやっている方なあまり「何度も見て考えたい」という演目にはならない気がするんですよね(別に考えてもいいんですが)。私一人にしても大劇場の大衆演目を見るということに対して色んな考えがある昨今なので良い悪いでは言えないんですが、ちょっともったいない気もします。(すごくファンだったらストプレに行くのかもしれないけど)

 

さてジェーンエア。THE 古典ロマンスでしたね!
レミゼからミュージカルを見始めたときこういう作品がたくさんあるのだと思い込んでた気持ちを思い出します。なんか猛スピードでハッピーエンドまで持ち込んだ気もするけど、古典文学は長いからね。
で、古典なんだからそうなんだけど、嵐の中の声が比喩に思えなくて案外近所だったのね?と思いかけました。いいえ遠い旅路なんですが。ロチェスターさんとの出会いが完全におもしれー男/女なのに、ジェーンがポジティブなものとして受け取り歌い出すのが印象的です。何はなくとも前向きな気持ちになる出会い。まぁその時えらいかっこいい落馬シーンだったので驚きました。なかなか舞台上で「馬」を成立させるの大変じゃないですか。馬でしたね。

ヘレン・バーンズとの出会いに重きを置いたシスターフッドで始まり舞台上の「まなざし」が巡り巡ってヘレンの存在を感じるのが良くて、その辺はなかなか涙腺に来ます。人生の孤独極まった時に柔和な萌音ちゃんが「許すのが正義」と教えを授けて去ったら従うしかないじゃない…(しかし子役が似合いすぎてたし素朴に岡山弁で話してた気さえする萌音ちゃんでした)
このシスターフッドで包み込んでおけばロチェスターさんとのおもしれー出会いがジェーンの自立を際立たせるのが気が利いてる脚本で良かったです。最終的に持参金が全てを解決するのはもっと説明がいるのかな、とも思いますが(19世紀の結婚は身分より持参金、コゼットもなんとかした持参金)。